竹や~竿竹~
竿竹屋が通る。
すると近所のハスキー犬が遠吠えで応える。
ウォウォウォウォ~ン
DNAの中に眠る野性だった頃の記憶が揺さ振られるのだろうか。
遠い故郷シベリアの大地を想うのだろうか。
今日はちょっと寒い。
シベリアほどではないだろうけれど。
ゆっくりゆっくり竿竹屋が通り過ぎてゆくのを、
ハスキー犬は物寂しげに見送っていた。
ちょっぴりオセンチで、でもどこか間抜けで愛らしいこの光景を撮影しようとカメラを向けると
それに気付いたハスキー犬は
ウォッ…
と言って黙ってしまった。
ちょっとバツが悪そうに。
ゴメンよ、望郷の時間の邪魔をして。

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