古本屋で偶然見つけて買った本。
これが予想以上に面白くって。
「仕立屋銀次」(本田一郎著、中公文庫)
僕の大好きな浅田次郎大先生の名作に「天切り松」シリーズというのがある。
これがね、盗人一家の痛快な物語なんだけど、
昨年のLive House Actで書いた『弁天推参~粋後姿明治白浪~』はそれに憧れて書いたと言っても過言じゃなくて。
で、「天切り松」シリーズの主人公・松蔵の親分にあたる人が、目細の安吉という掏摸の天才。
この人がこれまたカッコイイんだけど、語り出したらキリが無いし、今日の本題ではないから割愛。
で、その安吉のそのまた親分が日本一の掏摸の大親分・仕立屋銀次。
この人、実在の人物なんです。
で、この本は、その仕立屋の親分を題材にした実録。
最初の刊行は昭和5年。
著者の本田一郎って人はね、晩年出獄して更正した銀次本人からインタビューを取って雑誌に連載を持っていたとのこと。
当の本人から聞いてるだけに、日本掏摸史上(そんな歴史があるならば…笑)最盛期のニオイが克明に伝わる。
それにね、浅田先生もこの本読んだんじゃなかろうか、
いや、読んだに違いない!というくらいに、
「天切り松」の世界観に通ずるものがあって。
ああ、この実在の子分は誰々(物語の登場人物)のモチーフになってるな…
とか、
うわぁ、あのエピソードは似たような実話があったんだ!
とか、
浅田作品ファンとしても楽しくて。
そもそも、更正して語るってあたりも天切り松っぽいしね。
面白くって一気に読んじゃいました。
偶然の出会い。
多分、新刊ばかり並んでる書店では絶対無かった出会い。
だから古本屋は好きだ。
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